sans fin

詩と散文 3

傘のない街

 朝目を覚ますと、傘がない
 昼外に出てると、傘がない
 夜眠りにつくと、傘がない

 どしゃぶりの中で待つのは私
 晴れない心の中を覗くのは私

 落ちてきそうな雲を見上げて

 今日も、傘がない
 遮るものがない

弱さの代償

 無責任に他人が羨ましくなったり
 トイレに閉じこもって泣きたくなったり
 後ろを振り向きたくなかったりする

 生きてりゃいいなんて思ってたけど
 自分らしくしてりゃいいなんて
 ……思っていたけど……
 それって何だろう?

 脆い部分のピースを
 どうにかこうにかはめ込んで
 はめようとして……
 探すしかないのかな?

 その思いの全てを
 未完成な自分の中にぎゅっと閉じ込めて
 わからなくて
 知ってくれなくてもいいと思ってた

 でもどうしたって貪欲で
 手に入ればもっともっとって、欲しがる
 どこまでも弱くなっていく自分と
 膝を抱えてうずくまる

 明日は
 晴れるといいな

振り返るとさ

 何か見えることない?

 空を見上げるといつもと違っていたり
 地面から何かが出てきそうに思ったり
 そんな風にさ
 空想の中に住んでみたいと思わない?
 ゲンジツなんて辛いばっかりでさ
 ちっともいいことなんてありゃしない
 だから
 ちょっとだけゲンジツを忘れてさ
 ゲンジツ以外に行ってみない?
 どこでもいいんだ
 ゲンジツじゃなければさ
 ・・・そうさ、どこだって

 ねえ、一緒に越えようよ?

 そして
 無邪気な彼の声だけが残った

太陽の腕

 心を全て、とかしてあげる

 優しくふりそそぐ太陽が
 ゆっくりと下りてきて私に云った
 悲しいことや辛いこと嫌なこと
 全部、癒してあげる
 何もかも、なくしてあげる

 そうしたら
 嬉しいことと楽しいことしか
 残らないでしょう……?

 照りつける太陽はどこまでも淡く
 そして
 どこまでも恐く感じた

 なくしてしまった「感情」を
 取り戻すことはもう出来ない
 それでも
 私は過去を捨てたいと思う……?

 優しい太陽
 淡い光
 包み込んでくれる

 見上げたそこに、いつもいて
 見ててくれる

 ……全て、とけるよ……
 それでいい……?

穏やかな日々

 奏でましょう 音を
 歌いましょう 愛を
 嘆きましょう 心を

腐敗した瞳

 嬉しい時は嬉しいと云いたい
 たとえ
 どんな時でも

 手をのばして空を掴んだら
 海がまっさかさまに落ちてきた
 大地を足で踏みつけたら
 雲が泣いて舞い上がった

 少女は機械で眠り
 オルゴォルの音で笑う

 ギリギリの崖の上でも
 今日も また
 やせ細った青年達が山を登る

 飢え 渇き 死への誘い

 それでも
 嬉しいといえる心はどこかにある

雨になれ

 突然
 どうしようもなく泣きたくなった時に
 雨が笑ったような気がした
 全部ずぶぬれで
 前髪から水をしたたらせて
 歩く

 笑おうか……?
 泣くのなんて
 なんて淋しいのだろう

 傘がなくとも
 雨の中を歩く

 カエルが目を細めてる
 カタツムリが家を壊そうとしている
 じゃあ自分は?

 歩く
 歩く
 歩く

 重くなった足が
 冷たいだけのアスファルトを蹴る

 歩く
 歩く
 歩く

 ふと
 空を見上げる
 雨が
 まっすぐ自分に落ちてくる

 歩く
 歩く
 歩く

 車の音を遠くに聞きながら

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