sans fin

詩と散文 4

その指先に

 そっと、重ねて?

 覗き込んだのは誰だっただろう

 曖昧な記憶だけが蝕み
 忘れるように振り向けない
 繋いでいた筈の手は
 いつの間にかあたたかさを失っている
 ……手を
 握り締めた指はかじかんで
 息をふきかけてはあたためて

 声は途切れ途切れに届く
 記憶のもっと先の奥の
 白く光る指先だけが見えた

 ねえ、手……つないでもいい?

たったひとつの・・・

 そこにいるのは、誰ですか?
 ただひとつの真実。
 そこにいるのは、誰ですか?
 ただひとつの言葉。
 そこにいるのは、誰ですか?
 ただひとつの感情。
 そこにいるのは、誰ですか?
 ただひとつの……

 心。

異端の消去

 だいたい心てのはやっかいで
 だいたい想いってのは難しくて
 だいたい言葉ってのは簡単じゃない

 そんな風に体を駆使してさ
 一体何をしようっての?
 もっともっと楽に逃げてさ
 嫌なこと全部捨てちゃえばいいじゃない?

 レンアイなんてどうでもいいしさ
 アイジョウなんてわかんないじゃん

 あんたにはさ
 イラナイものが沢山ついてるんだよ

 捨てちまえよ
 楽になるよ……?

 ――そっか……
 ……うん、わかってる
 あんたにはまだ
 捨てちゃいけないものがあるんだね
 あんたはまだ
 逃げないんだ

 私とは違って……

気持ちの露呈

 ただ、もの食ってるだけなんだけれど
 こうやって美味そうに食ってる姿って
 見てると
 ああ、私、好きなんだなって思う
 私が嫌いなものはさり気なく貰ってくれて
 私が好きなものは堂々と「くれ」って云う
 そんな所が、好き

 一緒に歩いていても
 何気なく足早に私を置いていってしまっても
 ちゃんと少し行った所で
 ちらりと振り返ってくれる
「早く来いよ」って
 うん
 そんな所、すごく好き

違う自分の違う彼

 喧嘩したら新しい発見をして
 罵り合ったら違う所を見つけた
 お互いに謝らずに
 ずっと
 でもちゃんと相手を見ていた

 怒るとしきりに髪の毛に触れる
 怒鳴ると右手がよく動く
 いつも私の隣でほほ笑む顔は
 それこそ修羅のようで
 ……こんな表情もあったんだって
 新発見

 て云ったら
「バカじゃねえの?」と呆れられた

 だってさ
 嬉しいじゃん?

トウコの声

 でもさ、やっぱりスキなんじゃない?
 トウコが枕をぎゅっと抱えて云った

 気になってるんでしょ? 今でも
 こんなに真面目なトウコの顔
 はじめて見た
 布団に顔をつっぷすようにして
 あたしは頷くこともできなくて
 ただ、沈黙する

 バカだなぁ……
 呟くように云ったトウコの声は
 本当に優しくて
 あたしは泣いた

そして泡となる

 恵み多きこの大地で
 二人は出会った
 ほほ笑むだけでその心はつながり
 二人は語った

 悲しみは分け合い
 喜びはまた分け合った

 二人は「互い」がいることを認め
 そしてまた
 二人は「他人」であることを知った

 どうしても重ならない心も
 上手くいかない言葉達も
 二人は受け入れた

 手と手を取り
 二人は
 天へと堕ちて行った

ボクのてのひらで / あたしの心で

 どんなに辛く悲しくとも
 ボクだけは君を裏切らない
 ボクだけは君を見つめている

 濁流にのまれても
 嵐に翻弄されても

 ずっと
 ずっと
 ただ
 君だけを……

 --------

 あなたが泣くのなら
 あたしは目になるわ
 あなたが叫ぶのなら
 あたしは口になるわ
 あなたが死ぬのなら
 あたしはあなたになるわ

 違うの
 そうじゃないの
 本当にただ
 一緒にいたかっただけ

 ただ
 それだけだったのに

なみだのえいえん

 あたしがかくすのは
 うれたたいようと
 はなびらのおちたはな

 ずっと
 すきだった
 そんなふうにすら
 つたえられなくて
 ちんもくする

 めをみることもできなくて
 ただ
 うつむいていたら
 おおきなてが
 あたしのあたまにふれた
 ぶきようにあたまをなでる

 なんで
 こんなになきたくなることをするの?
 こたえてくれないなら
 うけとめてくれないなら
 こんなふうにあたしにやさしくしないで

 ゆがんだじめん
 かすむしかい

 いつだって
 なみだはここにあるんだから

音の洪水とあたしの我儘

 また、音ズレた
 うるせぇよ
 だってさ、そこちょっと違うじゃん?
 オレのいいようにやってんだよ
 うん、知ってる

 今時流行らないフォークギター弾いて
 一人で目瞑って酔ってる
 何で私がいるの
 忘れちゃうかなぁ……

 ベッドに背中くっつけて
 天井仰いで溜息
 たまには我儘聞いてよ
 こっち向いてよね

 紡ぎだされる音は優しくて
 思わずあたしも目を瞑る

 音ズレたっていいや
 こんなに優しくあたしに語り掛けてくれるなら
 いいよ、許してあげる

 でも
 明日はいっぱい我儘聞いてもらうから

alone

 その唇から紡ぎだされるコトバ
 運命だとか宿命だとか
 そんなものを全て嘲笑ひとつで捨てて
 のばした手をはねのけた

 好きだよ
 繰り返し繰り返し囁かれる声
 脳の奥まで浸透していく

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 でも
 抱きたくて

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