sans fin

詩と散文 7

memories

 思い出は姿を変える
 綺麗にのばされた紙のように
 しわくちゃなのが
 少しだけ真っ直ぐになる

 思い出は姿を変える
 巻き戻ししたビデオテープのように
 上から重ねられ
 いつの間にか違うものが入っている

 思い出は姿を変える
 悲しみを全て忘れようとするように
 涙を忘れ
 無理した顔で笑顔を作る

 思い出は姿を変える

 思い出は姿を変える

 記憶は少しずつ追いやられ
 綺麗に改ざんされて振り分けられる
 「今」はもう
 記憶のかたすみに……

空歌

 空に映った緑が
 風に揺れて歪む
 青に反射した緑
 透明な光がさす
 日陰で座り込み
 晴天を見て笑う
 散った雲が動き
 様様に形を変え
 早すぎる程早く
 流れていくのを
 ぼんやり見つめ
 緑が空に映った
 柔らかい光達は
 何もかも抱いて
 安らかに、眠る

噴水

 爪先が水に濡れた
 飛沫は空に上がり
 太陽の光で静かに光った
 落ちてくる雫を
 両手で受け止めた

 透明に照らされ
 頭上ではじけた

再会

 きっとまた会える
 そう云って分かれた
 きっとまた会える
 そう云って手を離した
 きっとまた会える
 そう云って背を向けた

 何度も何度も日が昇り
 何度も何度も夜を越えた

 雑踏の中で
 誰かに呼ばれた気がして振り返る
 空耳と不確かなその声に
 一度だけ
 まばたきする

 目の前

 何度も何度も名前を呼んで
 何度も何度も夢に見た

 音の消えた世界で
 何もかも捨てて走り出した
 その顔と確かな笑顔に
 何度も
 叫んだ

 消えないように

ニセモノ

 たまに
 顔が
 変わってるんじゃないかと
 思うことがある

 鏡は
 本当は
 嘘つきで
 自分だけが違う自分を見ているのだと

 スプーンの内側に映った
 さかさまの自分
 透明な瓶に映った
 妙にのびた自分

 全部
 全部

 ニセモノ

 なのかも

趣向違い

 じゃあさ、こうしない?
 あたしが人差し指を立てると
 すっごく嫌そぉ~な顔をした
 にかっと笑って云ってやる

 ジャンケン!

 またそれかよって顔されて
 勢い込んで振り上げた右手で
 頬を掴んでやった
 離せよって頭はたかれて
 でも涙目じゃん?

 だって、あたしはさ
 陳腐なラブロマなんて観たくないし
 どうせだったら
 背筋凍るホラーのが面白くない?

 呆れられて
 お前女失格なんて云われて
 でも気づけば引っ張られて
 って、そこホラー映画だよ?

 お前が観たいって云ったんだろ?

 うわ、涙でそう

 映画
 楽しかったな

ページのトップへ戻る